高校留年の現実と正しい対処法~親が知っておいた方がいいこと~

高校生の子どもが留年しそうで、どうしたらいいですか?というご相談が増えています。

特に、公立の進学校(私立だと中高一貫校)にせっかく合格したのに、学校を休みがちになり、テストが赤点ばかりで進級に赤信号どうすればいいのか?という感じのご相談が多いです。

そんな保護者の方に向けて、高校留年の基準から回避方法、救済策、また留年後の進路選択などについてお伝えします。

正しい知識を知った上で、留年しそうなくらい意欲が低下したわが子に、親はどんな対応をするとよいか?参考にしてくださいね。

わかばやし
わかばやし

学校に行くことや勉強の意欲が低下している子に「勉強しなさい!」「学校に行きなさい!」「どうしてちゃんとしないの!」何度言ったとしても逆効果です。

むしろ親が叱咤激励ばかりしているから、動けなくなっているかもしれません。

なぜなら、ガソリンのない車に「動けーー!」と言ってるようなものですから、、、

高校生の留年問題に対して、唯一親ができることは、子どもの心にガソリン(=愛情や信頼)を注ぐ対応です。

はじめに:高校の留年とは何か?

留年とは、何らかの理由で次年度も現在在籍している学年に留まることをいいます。

中学までは義務教育のために、成績が悪くても出席日数が足りなくても全員進級できますが(注意:一部の私立中学の場合は留年もあり)、高校では1年間で必要な単位を取得しないと、進級することができず留年措置となります。

高校留年の現状

文部科学省の調査によると、2021年度に国公立や私立の高校を留年した人数は8,268人でした。 これは高校生の全体の0.3%に相当します。

高校の場合
成績不振よりも
不登校から留年になる場合が多い

高校での留年の基準:いつ、どうなるのか

単位不足による留年

文部科学省が設定している、高校卒業に必要な最低限度の単位数は74単位です。

学校によって異なりますが、少なくても74単位以上は必要で、単位を取得するためには、各科目での「成績」と「出席日数(欠席)」の基準を満たす必要があります。

全日制高校は1科目でも単位を落としたら、留年する仕組みになっています。

出席日数と留年の関係

一般的な全日制の高校では、欠席日数が総授業日数の3分の1を超えると、進級・卒業できません。

高校にもよりますが、おおよそ60日休むと、留年(原級留置)の可能性が出てきます。

留年の救済措置とは

赤点とは、定期テストで基準点に満たないこと。言い換えると「落第点」のことで、学校によっては、「欠点」という呼び方をするところもあります。

赤点が何点なのかは、学校によって異なり、「40点以下」や「30点以下」と具体的な点数で決められている場合もあれば、「平均点の半分以下」や「平均点の3分の1以下」のように、テストの結果ごとに赤点の点数が変動する場合もあります。

高校の定期テストで赤点を取ると、多くの場合、補習や追試の実施などの「救済措置」がとられます。

補習・追試のチャンスを活かす

赤点を取った科目は補習授業を受けたり、追試を受けたりする必要があり、指定された補習日数をクリアし、追試で合格点を取れば、留年は避けられることが多いです。

わかばやし
わかばやし

「見守る子育て」では、赤点が9教科ある状態から留年を回避した人もいます。

お母さんがこの問題をすべて子どもに任せて見守られたことで、その後の意欲(大学受験)にも繋がりました。

留年した場合の選択肢

留年してしまった場合の選択肢について紹介します

  1. 留年して同じ学年をやり直す
    一部私立高校(例:慶應義塾中等部)や高専など「留年がさほど珍しくない学校」ではワリカシ一般的。
  2. 別の全日制高校へ編入(転入)して卒業を目指す
    不登校が原因だと難しい。成績不振の場合は選択肢に入るが、実質全ての全日制高校が転校生の受け入れを行っているわけではなく、欠員のある高校のみ、転校生を募集している
  3. (高校を中退後)通信制高校に編入して卒業を目指す
    私がお聞きしている中ではこのパターンが最多。ただしサポート校を併用することが多いので学費が高額になりがち。
  4. 定時制高校へ転入(編入)する
    定時制高校は、授業時間が短く、単位制の高校も多いので、働きながら高卒資格を取得したい人の転校先に向いています。定時制高校には偏差値がないため、転入試験の難易度は低めです。
  5. 高卒認定試験を受ける
    高卒認定試験の合格率は、ここ数年45%前後。高卒認定試験に合格すると、公的に高卒資格者と同等の学力があると認定され、大学、短大、専門学校の受験資格が得られるほか、多くの企業が高卒と同じ扱いをしてくれる、公務員にも就職しやすいというメリットがあります。
  6. 高校卒業を諦めて就職する
    実質中卒となるため、親御さんが一番避けたいけど、そんな本音とは裏腹に「高校行かないなら働きなさい!」と言ってしまっている場合は非常に多い。

(最多)通信制高校への編入(転入)

私の知る限り、(一部の私立高校や高専をのぞく)留年してしまった場合は中途退学(中退)を選ぶご家庭が多く、その後通信制高校へ編入されます。

そして、同時にサポート校も併用される場合が多いです。

通信制高校への転入学は、高校1年生からでも、3年生からでも可能です。

ただし、通信制高校によっては転入学の時期が限られている場合もあり、学校によって、1月~4月の前期と8月~9月の後期の2回に分けて募集をしているところや、1年中編入・転入を受け付けているケースなどさまざまです。

子どもの居場所はいろいろ
通信制高校を選ぶ
高校生が増えています。

不登校と留年や中退のリスク

文部科学省の2022年度調査では、高校の不登校者数は60575名で前年度よりも約1万人増加しました。

そのうち、10492人は中途退学、原級留年は3374人。

つまり、高校で不登校になると、留年してその高校(学年)にとどまるよりも、中退を選ぶ生徒の方が多いようです。

引用元:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(文部科学省令和5年10月4日)

不登校生の留年を避ける方法とサポート体制

実は、不登校が原因で高校中退後、通信制高校に編入した場合、レポート提出やスクーリングに行けず単位取得ができないことで、留年になってしまうご相談事例は数多くあります。

これは、所属のない状態が不安な親が、「週に1日くらいなら登校できるはず!」と子どもと約束を取り付けるなどして、親主導で編入の手続きを進めてしまう(先回り&お膳立て)ことが、要因の1つだと感じています。

この状態を避ける方法は、子どもの心にエネルギーが貯まるまで親は見守りながら愛情を注ぐこと、また本人が通信制高校に行きたいと言い出すまでゆっくり待つことだと考えています。

わかばやし
わかばやし

もちろん、場所を変えると登校できるようになる場合もありますが、その多くは、心のエネルギー不足で動けなくなっている状態。

親は将来への不安から先回りして、子どもの居場所を決めないことをオススメします。

理由は、通信制高校(特にサポート校)は学費が高額な場合も多いですし、また最後の砦と考えている親御さんも多いですので、イライラや不安が倍増し、必要以上に子どもを責め立ててしまうこともあるからです(涙)

▼不登校初期の高校生への対応▼
学校に行きたくない高校生のトリセツ~不登校にならなかった高1息子の話~

まとめ:留年を乗り越えるために

わが子が高校で留年してしまいそうだと感じたり、実際にそうなってしまうと「この子の人生終わりだ」と思ってしまう瞬間もあると思います(涙)。

ですが、実際、通信制高校や高卒認定から大学や専門学校に進学し活躍している人も増えていますし、また中卒から社長芸能人になった人もいます。

そしておそらく一番、自信をなくし絶望しているのは子ども本人。

親は留年ショックから少しでも早く立ち直って「大丈夫。きっと何とかなる」という姿勢で愛情エネルギーを注げますように。

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この記事を書いた人(監修者)

わかばやしゆかこ

長野県松本市在住 
中高生ママ専門の子育てコーチとして、悩める母専門のコーチングセッションを行う。
【経歴】
・コーチングオフィス ままはぐ代表
・ICA国際コーチ協会認定 ポテンシャルコーチ
・セッショントータル4,500時間以上を実施
・24歳(社会人)と21歳(大4)2人の息子を持つ母親
・京都大学にて教授秘書歴7年

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