放任や放置と「見守る子育て」は何が違うのか?とよくご質問をいただきます。
これは、子どもを見守り始めると、これまで手出しや口出ししていたこと(過干渉な子育て)をやめることになり、この状態が放置や放任の状態と似ているからだと思います。
また、子どものためによいと思って「見守る子育て」を始めたのに、パートナーであるご主人様から「見守るなんて甘やかしだ!子どもに勉強させないで放置するなんてもってのほかだ!」などと非難され、ついつい元の指示命令の多い状態に戻ってしまう…というお母さんも多いと感じています。
子どもを放置すると、愛情不足のために様々な問題が起きやすくなりますが、「見守る子育て」は、子どもを信頼するからこそ見守りますので、親の愛情を沢山感じさせてあげることができます。
今日は、放任や放置との違いについて解説し、「見守る子育て」のメリットとデメリットについて詳しくお伝えします。
もくじ
放任とは?放置とは?
子育てで、特に「大切なこと」があります。
それは、子どもに
1)社会のルールを教え、「生きる力」を育てること
2)愛情を与えること
この二つを意識しながら子育てすることは、とても重要で、忘れてはいけないことだと感じています。
というのは、これまで私がご相談を受けてきたお悩みの殆どのことが、正しく育てようと躾ばかりに囚われているために、結果として親の愛情不足となっている場合が多いからです。
(親は愛情を与えているつもりだけれど、子どもには伝わっていない状態)
▼参考記事▼
⇒愛情不足の子どもの特徴とサイン(小・中・高校生別)
放置とは?
放置とは、そのままの状態で置きっぱなしにして、その場をはなれることです。
子どもに愛情を与えずに、ほったらかしにする状態となり、ネグレクト(児童虐待の一つ)とも言われます。
わが子に愛情を与えず、子どもの存在や気持ちを無視してしまっている親御さんが、一定数存在していることも、悲しいかな事実なんですよね…
マザーテレサの言葉で、愛の反対は無関心という有名な言葉がありますが、「放置」は親側の自己都合で、子どもを「ほったらかし」にしているという印象を受けます。
子どもが迷惑行為をしても叱らないのは、放置となりますのでご注意くださいね。(例:お店で騒ぐ子どもを叱らないなど)
放任とは?
放任とは、干渉しないで、したいようにさせることです。
つまり、そのままの状態で置きっぱなしにしてその場を離れてしまう「放置」に比べて、「干渉せず、相手のやりたい様に行動させること」という意味がありますので、子育てには良さそうですね。
例えば、東大に合格した子どもが「うちは放任主義だった」と言う場合がありますが、これは親から干渉はされず自由に育ててもらった(=勉強を強いられたことはなし)という意味で言っているのだと思われます。
「見守る子育て」とは?信頼しているから黙って見守れる
「見守る子育て」とは子どもの問題に介入せず、自由を与えるという点では放任主義に似ていますが、そこに「信頼という愛」がある子育て法です。(「見守る子育て」主宰わかばやしゆかこの定義)
子ども自身が「自分で何とかする力」を信じて、例えば勉強など「子ども自身の問題」に対して、親は「あ・え・て口を出さない」と言う感じです。
今、過干渉になってしまっている方は、ある意味、子どもの「自分で何とかする力」を信じることが出来ないから、口を出してしまっている状態ではないでしょうか?(←過去の私)
また、子どもの自己肯定感を育てるためにも「存在承認すること」の大切さをお伝えしていますが、条件付きの子育てをやめて、子どもが今、ここに存在してくれていることに心から感謝することが非常に重要だと考えています。
ですので「見守る子育て」を一言でいうと、お子さんの存在に感謝し、自分で何とかする力があることを信じて、口を出し過ぎない子育て法となります。
「見守るなんて甘やかしだ!」という方もいらっしゃいますが、子どもの言う事を何でも聞いてあげるのではなく、迷惑行為をした時など、叱るべき時はちゃんと叱らなければなりませんのでご注意下さいね。
▼叱り方についてまとめ記事▼
⇒中学生の叱り方、7つのポイント解説!反抗期のお子さんに
子どもを見守る、の捉え方
ですが、急に「見守りましょう」と言われて、戸惑う方もいらっしゃるかもですよね。
どうしてかというと、たいていの親御さんは「良かれと思うこと」(例:勉強への口出し)をやっている方が多くて(ほとんどが過干渉)、それをやめることに不安や抵抗を感じるからです。
そこで「見守る子育て」を主宰している私から「見守る」の定義をお伝えしますね。
「見守る」という行動を、2つに分解すると分かりやすいです。
見守る=『❶過干渉をやめる + ❷子どもが自分で何とかすることを信じる』で、「やめる+信じる」の2つの行動が肝となります。
見守る❶:過干渉をやめる(学校や勉強のことは言わない)
「見守りましょう」と言われて困惑する方の殆どは、今やっている行動(ほとんどが過干渉)をやめること。
つまり、何もしない事に不安を感じます。
例えば、勉強しない子の場合は
1)勉強や宿題の声掛けをやめる
2)親がしているゲームやスマホの管理をやめる
など、今、親が良かれと思ってやっていることが、実は、子どもの「生きる力」を奪っていることに気づくことが超重要で、こららを「やめること」が必要とされます。
逆に、過干渉な行動をずっと続けていると、自己肯定感が低い子になってしまったり、自分で考えて動く力(主体性)が育たなかったりします。
これって大問題!!
つまり、親は速やかに過干渉な行動をやめる事、子どもの人生のハンドル(主導権)を子ども自身に返すことが問われているのです。
▼どんな行動が過干渉か?学年別に知りたい方に▼
⇒過干渉な親チェックリストどこからが毒親?
見守る❷:子どもの力を信じる(信頼エネルギーを注ぐ)
そして、「この子には自分の問題を自分で解決する力がある」と「信じること」が超重要です!
なぜなら、この親から信じて任せてもらうことが愛情エネルギーとなり、子どもの心が満たされ、何かしら新しく行動するためのガソリンとなるからです。(今動けなくなっているのは、ガス欠状態だとイメージ)
「信じる」「見守る」「許す」など愛情を注ぐ行動は、子どもの自己肯定感アップにもつながりますので、親としてやるべきことを探している方に、ぜひともお勧めしたい行動です。
「見守る子育て」のメリットとデメリット解説!
では、ここからは「見守る子育て」をやってみよう!と思われた方向きに、メリットとデメリットについて3つずつお伝えします。
自己肯定感を始めとして、自主性や主体性など「生きる力」は、お金では買えないものです。
これらの力を育てるためには、根気も時間も沢山必要なんですよね…
メリットやデメリットを良く理解した上で、大切なお子さんが「幸せに育るための基盤(力)」を、焦らずゆっくり育てていきましょう。
「見守る子育て」のメリット
- 自主性や主体性が育つ
「見守る子育て」では、自分のアタマで考えて動く子(主体性のある子)を育てることを目的にしています。
特に、子どもが思春期や反抗期を迎える中学生以降は、親は「子どもの問題」に介入せずに、子どもが自分で解決することを信じて見守っていくと、自然と、自主性や主体性が育っていきます。
自分のアタマで考えて「やってみたい!」と思った様々なことにチャレンジするために、もちろん失敗もしますが、その分、学びも多く、逞しく育っていくという訳です。
何年か後には社会に出て、経済的にも精神的にも自立するためにも、この自主性や主体性が育っていることはとても重要です。 - 自己肯定感が育つ
自己肯定感は、自分のことを肯定的にとらえる気持ちのことです。
ですが、過干渉な子育てをしていると、子どもにダメ出しや指示命令ばかりとなり「子どもを否定するメッセージ」が伝わるために、自己肯定感が育ちにくくなります…
対して「見守る子育て」は、子どもの存在に感謝する「肯定的な育て方」になりますので、子どもの自己肯定感が育っていきます。
特に「子どもの話を否定せずに最後まで聴く」ことは自己肯定感アップや親子関係改善のために効果抜群ですので、超オススメしております。 - 他人のことも尊重できるようになる
人間関係でトラブルを起こしやすい人の特徴の一つに、「他人との境界線に踏み込んでしまうこと」があります。
例えば、人のやることにイチイチ口出ししてくる上司や友達や親がいたら、ちょっと距離を置きたくなってしまいませんか?
「見守る子育て」では、親が「子どもの問題」に踏み込まないようにすることでもあります。
ですので、自分の人生に親からズカズカ踏み込まれない「心地よさ」を感じさせてあげると→人の問題に介入せず、他人のことをちゃんと尊重できる大人へと育ちます。
親子間でもお互いを尊重し合う家庭で育つと、適度な距離間のある人間関係を構築することが上手になり、人からも信頼される人になれそうです。
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「見守る子育て」のポイントを3つにまとめています(約40分の動画)
「見守る子育て」のデメリット
- 慣れるまでは罪悪感を感じやすい
急に「見守る子育て」を実践し始めると、親の義務(=たいていは勉強させること)を放棄してしまっているように感じて、罪悪感を感じる方が多いです。
特に、世間体を気にするタイプのお母さんは、「人からダメな親だと思われるかもしれない…」という不安や恐怖を感じて、元の状態に戻ってしまうことも少なくありません。
世間体<子どもの気持ち
本当にこれでよいか?迷った時は、子どもの立場に立って考える習慣をつくると、過干渉な子育てから卒業していけます。 - さじ加減が難しい
特に、今まで指示命令が多めの子育てをしていた方は、声かけしたい気持ちがまだ強いので、「どんな声かけをするとよいか?」などに悩みやすくなります。
つまり、さじ加減が難しい…と感じやすくなります。
「見守る子育て」は、基本、子どもから何か言ってくるまで待つ子育てとなりますので、(その間、母は自分の好きなことで自分をご機嫌にしましょう)、親から声をかける(何か伝える)ことよりも、「子どもの話を聴くこと」に注力すると上手くいきます。
すると、口数が少ない子どもさんも、お母さんに話すことが楽しいと感じるようになりますので、「親子の会話が増えた!」「子どもが本音を話してくれるようになった!」というご報告も沢山いただいております。 - 成果を感じるにはある程度の時間がかかる
「見守る子育て」を実践していると、子どもの心にエネルギー(=親からの愛情)がだんだん貯まっていくので、勉強をはじめとした「やる気」が引き出される場合が多いです。
この成果を期待して「見守る子育て」をスタートされる方もいらっしゃいますが、目に見えるような成果を感じるためには、早くても半年から1年はかかる印象があります。(ちなみに私は5年かかっています)
コーチングは性善説に基づいており「人はそもそも善である」という考えに従って発信しています。
ですが、「この子はそもそもダメな子だ」という捉え方をされている方が時々いらっしゃいます。
自分の理想とは違う子どもを受け入れるのが苦しいからだと思いますが この考え方をしていると 、厳しくしつけようとしたり(教育虐待にご注意) 、「あなたはダメな子だ」という言動を繰り返して自己肯定感が低くなってしまっていることがあります。
人は根底の考え方(=自分の信じている事)に添って行動するので、なかなかうまくいきません。
「この子はたった一人の宝物で、むしろ自分を成長させてくれるために来てくれた!」 くらいに「根底の考え方」をゴロっと変えるといいのかなぁと。
ちなみに 2人の息子はタイプが違いますが、上の子は私をこの仕事に導いてくれ、下の子は視野を広げてくれました。
教科の違う二人の先生を育てさせてもらった感じがしています。
▼見守る子育てをもっと知りたい方に▼
⇒「見守る子育て」とは?子どもの才能を引き出す3つの方法
「見守る」カギは「子どもを信じること」
自分よりも若く、まだまだ未熟な子どもを、信じて見守ることなんて、怖くてできないわ…という方に。
「子どもが成長したら…」「子どもが変わってくれたら…」など、先に、子どもが変わることを求めていらっしゃるかもしれませんが、まずは、親の私たちが先に「子どもを信じること」を始めてみませんか?
実は、「子どもを信じること」こそが、今子育てにお悩みの方に必要なことだと感じています。
「人を信じるって、こういうことだよ。親の愛情って、こんなにあったかいんだよ。」と心から実感させてあげるだけで、今あるお悩みがスーッと消えていくことも多いのだから…
▼おススメの本▼
「子どもを信じること」田中茂樹著
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