学校に行きたくない中学生|行き渋る理由がわからない時に親ができること
中学生のわが子に学校に行きたくないと言われた時、行きたくない理由を聞いても「わからない」と言われて困っている親御さんが増えています。
理由がわからないと親としても困ってしまいますよね。
文部科学省が発表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小・中学生の不登校は29万9,048人!
また過去最多を更新しました。
この記事では、中学生のわが子が学校に行き渋る理由がわからない時、親はどうするとよいか、具体的な対応をご紹介します。
「見守る子育て」では、不登校関連のご相談も多く「登校するようになりました!」とのご報告も沢山いただいておりますので、今お困りの親御さんは参考にしてくださいね。
状態を改善したい親御さんに向けて、子どもの心の中で何が起きているかを解説し、親子の信頼関係を結び直す対応を解説していきますね。
もくじ
中学生が感じる学校への違和感とは?
中学生は第二次成長期(思春期)で、身体が大きく変化する時期です。
子どもから大人へと身体の急激な変化に心がついて行けないために、親に反抗したり、学校に毎日行くことに疑問を感じたり、不安定になったりする時期です。
1)思春期特有の心理
中学生の子どもも「思春期特有の心理」について箇条書きであげますね。
- 自分の考えを持つようになり、独立心が急速に強まる
- 正しさを押し付けてくる親や大人に反発・反抗したり、刺激を求めて衝動的になる
- 自分に自信が持てずに人やもの(スマホ)などに依存的になる
- 自分自身について深く考え、自分らしさを大切にする考えが強まる
- 憂うつや不安を感じても、自分の中で抱え込みやすい
- 家族より仲間を大事にし、学校での出来事を話さなくなることが増える
- 性意識が高まり、異性への興味関心も高まる
2)感情を言語化する難しさに直面
例えば、学校に行きたくない理由を聞いても、「なんとなく」「だるい」「めんどくさい」などハッキリした理由を言えないのも、中学生の特徴でもあります。
自分の気持ちを、言葉で言い表す難しさに直面しているようです。
3)親には言いづらい本当の気持ち
「友達からいじめられていることを親には言えなかった」という話を聞いたことがあります。
これは、親に心配をかけたくなかったり、親の前ではいい子でいたいことが理由のようです。
また、親に自分の本当の気持ちを言ったとしても、否定されるに違いないと感じていると、言わなくなります。
これは、何とかして学校に行かせようとする気持ちの強い親御さんのいる家庭に起きがちです。
学校に行きたくない中学生の心理的要因
文部科学省の報告書によると、中学生の不登校の1番大きな要因は「無気力型」で、約半数を占めているようです。
無気力や不安の背後には、人間関係のトラブルや勉強への不安、思春期特有の体調変化など複数の原因が絡み合っている場合があります。
実際に、中高生ママ専門コーチとして、不登校関連のお悩みを沢山お聞きしていますが、行き渋る理由がわからないというご家庭は少なくありません。
部活の先生に叱責された、クラスの友だちからいじられた、など「きっかけ」となる事柄はありますが、部活をやめたり、クラス替えなどの対応をしたとしても、実際には改善されない場合も多く、原因を特定できない場合も多いのです。
ですので、中学生が学校に行きたくない理由は一つではなくて、以下の心理的要因が複雑に絡み合っている印象があります。
❶勉強に対する不安
中学から教科担任制になり、勉強が急に難しくなり、中間や期末テストで順位をつけられるようになります。
公立中学の場合は高校受験に向けて進学塾に入る子も多く、苦手科目の存在がストレスになっている場合もあります。
またテストでの失敗により挫折感で学校への意欲が低下している場合もあります。
❷友人関係のトラブル
勉強する為ではなく、友だちに会いたいから行っていた私の中学時代。
思春期を迎えた子どもにとって、友だちは学校に行く大きな理由となります。
それが、友だちとケンカしたり、仲間に入れないなど、トラブルがあると、学校に行きたくなくなってしまいます。
❸担任や部活の顧問(教師)と合わない
私がお聞きしている中で、不登校のきっかけで多いのがコレ。
担任や部活の顧問の先生と合わない、という理由です。
たいていはトップダウン方式の厳しい先生で、その授業(例:体育)の日だけ行かなくなる、部活への行き渋りなどが見られます。
❹部活動の問題
部活動がきっかけになって、学校に行けなくなる場合もあります。
レギュラーから外されたり、練習がハードすぎて自分が思い描いた活躍ができなくて、辛くなってしまっているのが特徴です。
❺思春期の身体的・心理的変化
生物学的に中学生は男性ホルモンであるテストステロンと、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が変化。
その結果である身体の急激な変化しますが、その変化に子どもの脳が追いついていないために不安定になりやすいと言われています。
❻いじめやいじり
いじっている方は悪気はないのですが、いじられている方はガマンにガマンを重ねている状態。
ストレスのある場所にいくのは嫌ですよね。学校に行くのが怖くなってしまう子もいます。
❼家庭の問題
両親の仲が悪く機能不全に陥っていたり、経済的なことが原因で成長に影を落としていることもあります。
また教育熱心が過ぎて、指示命令や叱咤激励ばかりで、子どもの心が疲弊していることもよくあります。
❽発達障害や特性の問題
発達障害の特性が見られる場合、周りから個性を理解してもらえず、居心地が悪くなったり孤立している子もいます。
また大きな音が苦手なタイプ(HSP)の子は、学校という騒がしい場所に対して苦痛を訴えている場合もあります。
他にも、朝起きられなくなる起立性機能障害や、過敏性大腸炎などで、学校に行くことが困難になっている子もいます。
学校に行きたくない潜在的な要因
こういった問題が起きる場合の本質的な要因として、子どもの自己肯定感の低さがあります。
ありのままの自分を認めて貰っていないので、自分に自信が持てず、ここぞという時に踏ん張る力が出せない状態なのでしょう。
また、繊細で周りが気になるタイプの子は、家庭でも学校でも遠慮や我慢をしていて自分の本音が出せず、疲れ切っている場合もあります。
また、そういった状況なのに「どうして学校に行けないの!」と親から正論で責め立てられているために、「学校に行けない自分がダメなんだ」と罪悪感を背負ってしまい、余計に動けなくなっている場合も多いのです。
親ができる!超具体的な5つのサポート方法
ちゃんとした理由はないのに学校に行きたくない!という子どもに、親はどんな対応をするとよいでしょうか?
ここでは、実際に個別でサポートしている中高生ママ達にもお伝えしている超具体的な5つの方法を紹介します。
本質改善したい!と言う方は参考にしてくださいね。
❶無理に行かせようとしない
学校に行きたくない素振りを見られる行き渋りの段階では、無理に行かせようとせずに、子どもの気持ちを尊重する対応(=見守る子育て)が非常に効果的です。
親に自分の気持ち(本音)をわかってもらえ、心に愛情エネルギーが貯まると、何事もなかったように学校に行き始める場合も多いからです。
子どもは、学校に行きたくない気持ちが100%の子は少なくて、たいていは学校に行きたい気持ちもあるけど、なぜか身体が動かない状態の子が殆どだったりしますので、子どもの気持ちに寄り添ってあげるだけでいいのです。
❷(正しさを横において)話を共感的に聞く
学校には行くべきだ!どうしてみんな行ってるのに行かないの!逃げてはイケナイ!など、特に学校に行き渋る不登校初期は自分の正しさを押し付けている親御さんが殆どだと思います。
ですが、今理由はわかならいけれども、行きたくなくなっている子どもの気持ちを理解しようと歩み寄り、子どもの言い分をちゃんと聞いてあげましょう。
価値観の押し付けは視野の狭い親の特徴です。
❸親が原因探しをして解決しようとしない
少しでも早く登校してほしい!と思えば思う程、親は原因探しをしたくなります。
なぜなら、その原因を取り除くことで、自分が(←ここ大事)1秒でも早くラクになりたいからです。
(子どもの為にやっていると思い込んでいる方が多いですが)
今「わからない」という気持ちを正直に話してくれるわが子をただただ受け入れましょう。
❹腹をくくる(学校は行っても行かなくてもどっちでもいい)
学校に行くか行かないかは誰の問題でしょう?
これは子どもの問題ですから、親の私達が何とかしようとしても、子どもを動かすことはできません。
例えば、スマホを取り上げて強引な手法で再登校に導く手法もあるようですが、その後、高校生になってから再び不登校になってしまって見守る子育てへ、というご相談事例が増えています。
早い段階で、子どもの問題と自分の問題を切り離し、お子さんの今に寄り添ってあげることができるといいですね。
すると、不思議と子どもは動き始めます。
❺信頼される親を目指すコミュニケーション
本音を話してもわかってもらえないと感じると、子どもは親に相談しようとしなくなります。
正しさばかり主張して、自分の気持ちを理解してくれようとしない親に失望するからです。
今、「わからない」と言っているのも、本当のことを言うと「それはおかしいでしょ」「あなたが悪い」と気持ちを分かってもらえないのが目に見えているからかもしれません。
不登校になった際のリスク
わが子が学校に行きたくないと言い出した時、親御さんが一番恐れていることが、(完全)不登校になってしまうこと。
「勉強の遅れ」や「進学や就職への影響」というリスクを感じるために、なんとかして行かせようという態度をとりがちです。
また、家にひきこもることも予想されるので、協調性や社会性の欠如に繋がるのではないかという恐怖もお持ちです。
ですが、もっと怖いのは、子どもの気持ちを理解しないで学校に無理に行かせようとする対応で失ってしまう「親子の信頼関係」と「子どもの自己肯定感」。
逆に言えば、親からの信頼と自分を信じる力さえあれば、同級生から少し遅れをとったとしても、いくらでも挽回できますから、自分の心が創り出す不安オバケに負けないでくださいね。
学校に行きたくない子どもの相談先
学校に行きたくない子どものことで悩み続けると、親御さんも体調を悪くされる方も多いです。
私自身も、高校生の息子が学校に行きたくないと言い出した時、心配で眠れなくなって体調を崩してしまいましたので、どうぞ一人で抱えこまず、中学校の先生やスクールカウンセラーなど、専門家と繋がって相談できるといいですね。
また全国各地に不登校の親の会もありますので、同じ悩みを持つ親御さんと繋がることで不安を減らせるかもしれません。
子どもの改善例
「見守る子育て」を実践して行き渋りを改善したお声を紹介します。
中2の時、娘が不登校気味で、まるで暗闇の中をさまよっているようでしたが、「見守る子育て」を実践していたら、中3になってからほぼ休まず学校に行くようになり、高校にも合格しました(Tさん)
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まとめ
理由がわかならいのに、学校を休み続けるわが子をそばで見守るのは辛いですよね。
「怒らないから本当のことを言って」と言って聞き出そうとする人もいますが、本音をチラッと話してみると確かに怒りはしないけれど、不機嫌になったり理解しようとはしない親御さんが殆どだったりします。
一番大切なことは、決して無理強いはせずに、「理由はハッキリしないけど学校には行きたくない」という子どもに寄り添うことです。
「学校に行きたくない」という気持ちを「今そうなんだね」と否定せずに、じっくりと話を聞く姿勢を持ちましょう。
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この記事を書いた人(監修者)
長野県松本市在住
中高生ママ専門の子育てコーチとして、悩める母専門のコーチングセッションを行う。
【経歴】
・コーチングオフィス ままはぐ代表
・ICA国際コーチ協会認定 ポテンシャルコーチ
・セッショントータル4,500時間以上を実施
・24歳(社会人)と21歳(大4)2人の息子を持つ母親
・京都大学にて教授秘書歴7年
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